爆発抑制装置(IEPシステム・サプレッションシステム)による爆発被害軽減

爆発抑制装置による爆発被害軽減

爆発の予防を完全に行うことは困難です。爆発が発生を想定し、爆発が発生しても被害をコントロール出来る用にする必要があります。爆発は発生後にヒトが有効な対応を問う時間を与えません。その為、事前に装置・システムに対策を施しておく必要があります。爆発の被害は爆発圧力からもたらされます。そのため、爆発の被害をコントロールする方法には、

  1. 装置の耐圧性能を爆発圧力以上にまで高める。
  2. 装置内の爆発圧力を装置外部に開放し、装置内の圧力上昇を阻止する。
  3. 装置内の爆発に対し、抑制剤を放出し、爆発の成長を中断することで圧力上昇を阻止する。

等があります。

爆発被害軽減対策の内、対象装置の外部への影響を最小限に抑えることができる対策が、上記3の対策である爆発抑制装置を設置する方法になります。日本フェンオールの爆発抑制装置は、爆発被害対策用サプレッションシステムのパイオニアである米国IEPテクノロジース社の製品、システムを提供します。

爆発抑制装置では、対象プロセス内で発生した爆発の発端検知から圧力上昇中段までの以下1から6の一連の動作を数十ミリセカンド程度の時間で実行します。

  1. 着火後の初期爆発圧力上昇の検知(爆発初期検知)
  2. 燃焼を停止させるために抑制剤を高速放出(爆発抑制)
  3. 隣接区域・配管への爆発の伝播防止(緊急遮断・アイソレーション)
  4. 関連プロセス機器の非常停止
  5. システム作動の警報

設計コンセプトでは、爆発発生後80msec(80/1000秒)程度までに爆発圧力上昇を中断させます。装置内の圧力上昇(Pred)は40-50kPa程度にとどめることを目指します。※設計条件により爆発圧力中断までの時間やPredの値は変わります。

爆発圧力上昇曲腺モデル

爆発の発生と抑制のイメージ

爆発抑制装置の設置イメージ

日本フェンオールの爆発抑制装置(IEPシステム・サプレッションシステム)の特徴

日本フェンオールが提供するIEPテクノロジース社(旧米国フェンオール社)は産業用爆発抑制システムのパイオニアカンパニーであり、世界中に10,000を超える納入実績のある抑制装置階のリーディングカンパニーです。当社も40年以上にわたり爆発抑制装置の取扱い、お客様の要望に対して調査から設計、メンテナンスから緊急対応サービスまでトータルのサービスを提供しています。

1、操業場所を危険にさせない

爆発抑制装置は、プロセス機器内の爆発の影響を、プロセス機器の外には出さないよう設計します。爆発のごく初期段階で検出し、爆発が大きく成長する前に抑制剤を放出し、爆発圧力が装置耐圧を超える前に爆発の成長を止めます。そのため、爆発火炎、光、爆発音、爆発圧力、煙、取扱粉体・ガスが爆発により装置の外に現れることはありません。操業場所は常に安全な状態が保たれます。

2、爆発の拡大(連続した爆発)を防止し、被害の拡大を阻止する

爆発被害の拡大は、爆発が連続し発生し拡大することにより引き起こされます。爆発抑制装置は、同一システム内に爆発伝ぱ遮断対策をとりこみ、爆発の発生個所から連続したプロセスの爆発を阻止します。

3、シンプルな運用

爆発抑制装置は、爆発圧力放散設備(爆発圧力放散口)に比べ、イニシャルコスト、ランニングコストは高くなる傾向にありますが、一つのサプレッションシステムで爆発自体の抑制と拡大の防止を行います。つまり、一つのシステムで総合的な爆発被害軽減対策を行いますので、複雑な設備運用の必要がありません。

4、緊急時も安心な部品備蓄

日本フェンオールでは、爆発抑制装置の主要機器、部品を国内最大規模のシステムの2基分を常備しておりますので、万が一の作動時も、抑制システムの早期復旧が可能です。
※通常機器納期は4-6か月となります。

爆発抑制装置の設計は、米国IEPテクノロジース社がATEX第3者認証やFM認証を取得した、計算プログラムで実施します。世界スタンダードの爆発被害軽減をご提供します。爆発抑制装置は高速で爆発の成長を中断させるため、抑制剤開放装置の一部に火薬類を使用します。本装置の設置や部品交換の際は、火薬類の譲受許可証や譲渡し許可証を都道府県知事に申請する必要があります。(申請にあたり、火薬類に係る資格等は必要となりません。)

爆発抑制装置 主要構成機器紹介

発抑制装置は、

  1. 制御装置(コントロールユニット、コントロールパネル)
  2. 抑制剤容器/抑制剤拡散用スプレッダー
  3. 圧力センサー

を主な構成要素にしております。それぞれ代表的な機器を紹介します。

制御装置

コントロールユニット

コントロールパネル

爆発抑制装置の中核を担う制御装置です。圧力センサーからの動作信号をうけ、抑制剤容器の放出を制御します。接続される抑制剤容器やセンサーの数量・種類により制御装置が選定されます。いずれの制御装置も、監視モード/非監視モードの切替がキースイッチで容易に行えます。また、いずれもバッテリーを内蔵しているので、非定常時の被害監視、被害抑制を行うことができます。

抑制剤容器

HRD抑制剤容器/スプレッダー

XPACⅢ穀物エレベーター用抑制剤容器ユニット

爆発抑制装置の抑制剤容器は、一般産業用のHRD抑制剤容器と、穀物バケットエレベーター用のXPACユニットの2種類があります。HRD抑制容器には粉末抑制剤が封入され、XPAC抑制容器にはハロゲン系ガス抑制剤が封入されます。

名称 パウダー
主成分 重炭酸ナトリウム
化学式 NaHCO3
白色
かさ比重 0.95g/㎤
粒子径 40μm以下
水溶性 あり
毒性 なし
適応範囲 粉じん、ガスを取り扱う装置
名称 FE-25
主成分 ペンタフルオロエタン
化学式 CHF2-CF3
無色・透明
比重(20℃) 1.248g/cc液体
沸騰点(1気圧) -48.5℃
蒸気圧(25℃、1気圧) 1.31MPa
水溶性(25℃) 0.09wt%
揮発性 100wt%
臭い かるいエーテル
蒸気比重(空気=1) 4.2
凍結点 -103℃
適応範囲 穀物パケットエレベーター

圧力センサー

定圧式圧力センサー

圧力上昇率検出型センサー

爆発の発端を検出するために、爆発抑制装置では圧力センサーを主に使用します。圧力センサーは大きく2種類があり、①一定の圧力値に達したことを爆発の認定とする定圧式圧力センサー。②圧力の上昇が所定の上昇率(1/100秒程度の時間のうちに数kPa程度の上昇)超え上昇することを爆発の認定とする圧力上昇率検出型センサー。をお客様の設備環境に合わせ選定します。

圧力の変動をとらえることが困難なプロセスや、爆発伝ぱ遮断の用途には、圧力センサーに加え光学センサー(赤外線センサー等)をシステムに組み込みます。